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読書日記や著作権考などの雑記を書いてます。
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SONYが経営する動画共有サイト「eyeVio(http://eyevio.jp/)」がJASRACと契約を締結したそうです。
日経プレスリリースによる発表はこちら。
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=181557&lindID=5

これにより、eyeVioではJASRAC管理楽曲を使用した動画の投稿が可能になるとの事です。
国内初の動画共有サイトのJASRACとの契約締結がYouTubeやニコニコ動画ではなく、昨年4月に運営を始めたばかりのeyeVioからと言うのは、正直驚きました。やはり経営母体がSONYと言う事で、著作権に取り組む姿勢が他の動画共有サイトとは違っているのかも知れません。



プレスリリースの内容を具体的に見てみましょう。

ソニー株式会社は、2007年4月より運営している動画共有のサービス“eyeVio:アイビオ”において、ユーザーがアップロードした動画で扱われる楽曲の著作権管理と運用(音楽著作物の二次利用)に関して日本音楽著作権協会(JASRAC)と契約を締結いたしました。(http://eyevio.jp/
この契約締結により、ユーザーはJASRACが管理している国内楽曲の中から、好きな楽曲を自ら歌唱・演奏した映像を投稿、共有出来るようになります。

以前、著作権考察:JASRACの主張通りに受け入れてみたらどうなるのか? と言うエントリーでも書きましたが、JASRACと契約した場合、総収入の2%を契約料としてJASRACに支払う必要があります。JASRACはこの契約料からJASRACの運営費用を引いた上で、アーティストに分配する事になっています。近視的に見れば、JASRACと契約する事でeyeVioは利益が減る事になる訳ですが、アーティストへの著作物を使用している以上、この支出は動画共有サイトが本来支払うべきコストである筈です。この点で、eyeVioはYouTubeやニコニコ動画よりも、より適正な判断をした、と言って良いでしょう。この判断をするにあたって、運営母体がSONY MUSIC ENTERTAINMENTを擁するSONYグループである事や、違法コンテンツを積極的に削除してきた運営方針、運営開始から半年程度でそれ程コンテンツも揃っていなかった事などは大きく作用したのではないでしょうか。特に、違法コンテンツに対する運営方針や既存コンテンツの蓄積量は、YouTubeやニコニコ動画とは大きく異なる点である様に思います。

さて、違法コンテンツ積極削除の運営方針でやってきたeyeVioですが、実際にJASRAC管理楽曲を含む動画をアップロードする際、ユーザは「楽曲名やアーチスト名を追加入力する」だけで良い様です。


 アイビオは一般ユーザー向けの無料サービスであり、今回の楽曲の二次利用に伴い発生する音楽著作権使用料金も全てアイビオが負担します。ユーザーには動画をアップロードする際に、楽曲名やアーチスト名を追加入力する以上の作業は発生せず、引き続き無料でサービスを受けることが出来ます。なお、一般ユーザーからの動画アップロード受付の開始は2008年3月を予定しております。

上記エントリーで、僕も「動画のアップロード時点でアップロードユーザが動画内で使用しているJASRAC登録曲の使用状況を登録するシステムをつけるだけで解決」と書きましたが、JASRACからもこれで問題ないと言う判断がされたと考えて良いでしょう。YouTube等が自動で違法動画を発見するシステムを提唱していますが、少なくとも使用楽曲をJASRACに報告するための情報提供システムとしては、そんなに複雑に考える必要はない、と考えて良い様です(アップロードされてしまった違法動画をどうするか、と言う議論はまた別である可能性もありますが)。少なくとも善意のユーザであれば - 意識的に「著作権違反をしてやろう」と考えている悪意のユーザでなければ - このシステムだけで充分アーティストに還元をしつつ、楽曲を使用出来る様になります。
また、一般ユーザに対しては無料、と言うビジネスモデルも変更しない様ですね。これはユーザとしては率直にありがたい限りです。

ちょっとだけ気になるのは、「この契約締結により、ユーザーはJASRACが管理している国内楽曲の中から、好きな楽曲を自ら歌唱・演奏した映像を投稿、共有出来るようになります」となっている所ですね。これだと、「JASRACが仲介している筈の海外楽曲はダメなの?」とか、「アーティスト本人の歌唱・演奏はダメなの?」とか、「自分が歌う時のカラオケ音源は何を使っていいの?」とか、「動画に歌詞を表示してもいいの?」とか、色々と疑問が沸いてきます。この辺はプレスリリースを読んだだけでは判らなかったので、eyeVioに問い合わせています。まだ回答が来ていませんが、回答を貰え次第、ここで公開したいと思います。JASRACとの契約上は、ストリーミング配信可能な契約を交わした時点でこれら全てがOKな筈ですが、実際にはeyeVioの運営方針にも拠るので、eyeVioとしてはこの範囲までしか許可しません、と言う事も有り得るのでしょう。僕個人としては、当然、アーティスト本人が歌唱・演奏したものも使用出来る様になって欲しいと思っています。
(楽曲のストリーミング配信許可を得れば、歌詞もストリーミング配信して良い、と言う話は、弁理士の栗原潔さんがitmediaのブログで書かれています)

歌詞のストリーミング公開について
http://blogs.itmedia.co.jp/kurikiyo/2008/02/post-c601.html

さて、実際に一般ユーザからの動画アップロード受付は2008年3月から開始する、との事です。後半月ですね。この期間はある意味でYouTubeやニコニコ動画にとっては猶予期間と言えるかも知れません。仮に、eyeVioで許される範囲が「自ら歌唱・演奏した映像」に限定されたとしても、ニコニコ動画などで人気コンテンツとなっている「歌ってみた」「演奏してみた」系のコンテンツは、全てeyeVioでは問題なくアップロード出来るでしょう。重要なことは、これらのコンテンツをアップロードしている人達は、基本的にその楽曲が好きでやっている、と言う事です。自分が動画をアップロードする際に、合法的にアップロード出来てアーティストに還元も出来るサイトと、違法アップロードになるサイトのどちらにアップロードするでしょう? 自分の好きな楽曲を歌って動画を公開する事で、僅かであれ、そのアーティストの収入になるんです。違法(になる)サイトにアップロードするメリットがあるとは思えません。
eyeVioのサービスは単純に動画を公開できるだけで、ニコニコ動画の様にコメントをつけられる訳でもないので、サービスとしてはチープなものです。しかし、コメント機能によってユーザコミュニティが活発化される事は、当然eyeVioも認識している事でしょう。ニコニコ動画やYouTubeがJASRACと契約するのが早いか、eyeVioがコメント機能を実装するのが早いか。スピード勝負の結果によっては、動画共有サービスの勢力図は大きく書き換わる可能性があると思います。

…そう言えば、ニコニコ動画からの移住先として脚光を浴びたzoomeにとっては、この話はかなり大きな衝撃なんじゃないでしょうか。頑張れ、zoome!

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